プリザーブドフラワー取扱業者が語るあまり知られていないプリザの話


プリザーブドフラワー取扱業者が語るあまり知られていないプリザの話。

当初は海外のプリザーブドフラワーをフラワーアレンジメントなどのお花の先生が個人輸入で持ち込んだりするケースや、 食品の輸入業者がフロールエバーを持ち込み、 徐々に日本で知られるようになる。
その後、ヴェルディッシモのローズが各商社やメーカーにより輸入され、市場に出回るようになる。(プリザービングの大地農園は当時はヴェルディッシモのローズを販売していた。)
しかし、この頃のヴェルディッシモのローズは品質が安定せず、退色が激しくピンクの花はすぐに茶色になり、黄色、青色は白く色が抜けていくことが多かった。
一方で、フロールエバーも市場に出回り始め、ローズの退色も少なく、ヴェルディッシモにはない大きめのサイズのローズもあり、品質が良かったため販売量を増やしていった。
そして大手花材問屋がフロールエバーを主力商品として売り出したことでプリザーブドフラワーのスタンダードになっていく。

ここで業者以外、一般の方やネットでは知られていない話をすると、フロールエバーとヴェルディッシモは昔のパナソニック(松下)とサンヨーと似た関係で代表者が兄弟なんだとか。工場もフロールエバーはコロンビアで生産。ヴェルディッシモはエクアドルにてバラの生産をしていますが国境を挟んで隣同士で作られているとか。

プリザーブドフラワーの特許取得※1のヴェルモントは、早い段階からヴェルディッシモと共に流通をしていたが、脱色をしない加工により色が渋めなことと花がやや固いことから、当時から使う人の好みが分かれるところであった。

次第にプリザーブドフラワーの認知度が上がり、新規参入メーカーも出始めた。
ネイチャーオールウェイズなどは品質に定評があり、徐々に人気を得ていたが販売ルートが少なく量としてはあまり多くはなかった。
そしてドライフラワーのかすみ草の製造で一躍業界内でトップ企業になった大地農園が国内唯一のプリザーブドメーカーとして、自社でプリザーブドフラワーを開発していくことになる。
しかし、当初はなかなか思うようにいかなかったようで、ローズに関しては退色や茎からの抜け落ちなど品質に問題があった。
とは言え、ドライフラワーのノウハウと商品群で、海外メーカーにはないグリーン、小花のプリザーブドフラワーも開発し、プリザーブドフラワーとドライフラワーとの組み合わせの提案など総合力では海外メーカーを凌駕するものであった。

この頃にはフロールエバー、ヴェルディッシモ、ヴェルモント、大地農園(アースマターズ・プリザービング)、ネイチャーオールウェイズの5つで、プリザーブドフラワー5大ブランドとし雑誌等で紹介されるようになる。


※1 1987年に「長寿命の切花製法」を特許申請し、1991年に世界特許認定を取得。

プリザーブドフラワー取扱業者が語るあまり知られていないプリザの話。その2

「5大メーカーのその後とブランド乱立へ」
フロールエバー、ヴェルディッシモ、ヴェルモント、大地農園(アースマターズ・プリザービング)、ネイチャーオールウェイズの5大ブランドがお互いにしのぎを削ることになるが、その中でも次第にシェアを伸ばしていったのは大地農園だろう。
今までは品質に難があったがそれも徐々に改良され、花の色も日本人の好みに合うようなやさしい色を揃えたことも大きい。
市場、一般へのプリザーブドフラワーの認知度が増すにつれて、更なる新規参入メーカーも出始めた。
一方では大輪で肉厚な薔薇を1輪ずつプリンカップに入れて高級路線で販売するブランド、グランロッサのメーカーの参入があるかと思えば、
他方ではスプレンドーレやテフテフなど、中国の薔薇を使い中国で加工するメーカーの参入があった。
また、一番の売れ筋の薔薇の花のプリザーブドフラワーを作らず、あえて5大ブランドには無い、花の品種を絞って参入するメーカーも現れた。
チューリップのプリザーブドフラワーのブリリアントや胡蝶蘭のエルブランシェ、八重咲きのトルコキキョウやデルフィニウムを着色しないで自然の花の色を生かした加工方法が特徴だったサントリーフラワーズのイロプリザーブドなど新しい試みも見られた。
このように、参入メーカーが増える中で、市場を通さずプリザーブドフラワーを通販のみでの販売をする会社(※流通市場に全く商品を供給しないメーカーはメーカーといえるか疑問に思いここでは会社としました。)や、生花卸市場と直販のみというメーカーも現れ販売形態も多様化していった。

この頃にはギフトなどでもプリザーブドフラワーが選ばれるようになり需要も増化傾向にあり、生産現場での天候の影響など様々な要因もあり原料の薔薇の供給不足に陥っていく。
また5大メーカーの一つ、ネイチャーオールウェイズとフロールエバーとの間で権利に関する裁判が起こり、ネイチャーオールウェイズ商品在庫が国内でほぼ全て無い状態がかなりの期間続く。その後日本の総合代理店が契約を打ち切り日本での販売が終わることになる。(市場から消えたのは2010年頃と記憶している。)
5大メーカーの一角が崩れ、メーカーのブランド間のパワーバランスもほぼ大地農園とフロールエバーの2強になり、ヴェルディッシモやヴェルモントは徐々にシェアが低下していった。

プリザーブドフラワー取扱業者が語るあまり知られていないプリザの話。その3

「メーカの寡占化と市場の変化」
2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災発生などを経験し、日本の経済状況もデフレ経済が続くなか、プリザーブドフラワーのトレンドも大輪より中輪、または小輪へとより単価の安いものへと流れていく。
特に大地農園(アースマターズ・プリザービング)の「ローズいずみ」が大きさと価格のバランスが良く、プリザーブドフラワーの主流と躍り出る。それとともに大地農園(アースマターズ・プリザービング)のシェアがさらに拡大する。
それと前後するが、大地農園(アースマターズ・プリザービング)以外の他のブランドの動向はというと、旧5大ブランドメーカーによる低価格ブランドの展開が挙げられる。
ヴェルディッシモをメインで日本で販売していた輸入代理店の新ブランド「ROSAVIE」(ロザヴィ)(のちに「ROSAVIE VERMEILLE」(ロザヴィ ヴェルメイユ))やネイチャーオールウェイズを日本で販売していた輸入代理店の新ブランド「ALLEGRIAFLOWERS」(アレグリアフラワーズ)(後2015年にメーカー倒産)や、ヴェルモントを日本で販売していた輸入代理店の新ブランド「Primavera」(プリマヴェーラ)などである。
またフロールエバーはメインであるスタンダードローズ、メディアナローズよりも小さな中輪サイズである「スプレーローズ」を新たに展開する。
市場のトレンドである中輪サイズで、なおかつより低価格なものを各社揃え、結果的に打倒大地農園(アースマターズ・プリザービング)の「ローズいずみ」という図式になっていく。



続きは「2015年中国のプリザーブドフラワー市場の影響」をお待ちください。

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